振動試験では試験条件に対数掃引で0.5oct/minなどと書いてあることがある。
この対数掃引の意味と試験時間がどれくらいかかるのかを計算する方法を解説してみる。
対数掃引とは?
対数掃引とは、振動試験などで周波数を変化させる方法のひとつで「周波数を単位時間あたり掛け算で変化させていく」というものである。
単位はoct/minで指定されることが多い。
\(\beta\) oct/minといえば「1分あたりに周波数が\(2^{\beta}\)倍になる」という意味である。
0.5oct/minであれば1分ごとに周波数は\(2^{0.5}\)倍(\(\sqrt{2}\)倍)になるし、1oct/minであれば1分ごとに周波数は2倍になる。
対数掃引の試験にどれくらい時間がかかるか計算してみる
対数掃引の試験にどれくらい時間がかかるのか計算してみる。
対数掃引で周波数を\(f_1\)から\(f_2\)まで上げていくものとし、掃引速度は\(\beta\) oct/minとする。
試験にかかる時間を\(t\)とすると
$$t=\frac{1}{\beta}\log_{2}\frac{f_2}{f_1}・・・(1)$$
となる。
たとえば、周波数を3Hzから100Hzまで対数掃引で上げ、掃引速度を0.5 oct/minとすると試験時間は
$$t=\frac{1}{0.5}\log_{2}\frac{100}{3} \approx 10.1\,{\rm min}$$
となる。
参考のためにいくつかの\(\beta\)に対する\(t\)の計算結果を以下に示す(周波数は上と同じ。小数第2位以下は切り捨て):
| \(\beta\) oct/min | \(t\) min |
| 0.5 | 10.1 |
| 1 | 5.0 |
| 2 | 2.5 |
| 3 | 1.6 |
| 4 | 1.2 |
| 5 | 1.0 |
式(1)を詳しく解説
なぜ時間\(t\)が式(1)で表されるのかを詳しく解説してみる。
「掃引速度\(\beta\) oct/minで周波数を\(f_1\)から\(f_2\)まで上げるのに時間\(t\)だけかかる」ということは「\(2^{\beta}\)を\(t\)回掛けると\(f_1\)と\(f_2\)の比になる」ということである。
$$\underbrace{2^{\beta} \times 2^{\beta} \times 2^{\beta} \times \cdots \times 2^{\beta}}_{t \text{ 回}}=\frac{f_2}{f_1}$$
$$\left(2^{\beta}\right)^t=\frac{f_2}{f_1}・・・(2)$$
一般に「\(A\)を何乗すると\(B\)になるか?」は対数\(\log_AB\)で求められるから
$$t=\log_{2^{\beta}}\frac{f_2}{f_1}=\frac{1}{\beta}\log_{2}\frac{f_2}{f_1}$$
となるのである。
式(2)をグラフ化
最後に式(2)をグラフ化してみよう。
比較のために\(f_2/f_1=t\)もグラフにした。

最初のうちは周波数はあまり上がらないが最後のほうでは急激に上昇していることがわかる。

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