磁気回路の設計で磁気回路法と並んでよく出てくるのがパーミアンス法です。
今回は磁気回路法とパーミアンス法は何が違うのかを見ていきます。
磁気回路法とパーミアンス法の違い
結論から言ってしまうと両者は同じものです。
磁気抵抗で考えるのが磁気回路法でその逆数で考えるのがパーミアンス法というだけです。
とはいえパーミアンス法にもメリットがあるので以下でそれを解説していきます。
パーミアンスとは
パーミアンスとは磁気抵抗の逆数のことです。
磁気抵抗を\(R\)、パーミアンスを\(P\)とすると
$$P=\frac{1}{R}=\frac{\mu A}{l}$$
となります。\(l\)は磁性体の長さで\(A\)は面積、\(\mu\)は透磁率です。
磁気回路におけるオームの法則を考えることにより
$$F=R\phi$$
$$\rightarrow PF=\phi$$
となります。\(F\)は起磁力、\(\phi\)は磁束です。
パーミアンス法とは
以下の図でパーミアンス法とは何かを見ていきます。
上の図ではリング状の磁石の途中にギャップがあり、磁束が流れています。
磁石の端面から出て端面に入る磁束(黒い矢印)に加えて磁石の側面から漏れる磁束も存在します(赤い矢印)。
このとき黒と赤のパーミアンスはそれぞれ
$$P_g=\frac{\mu_0 A_g}{l_g}$$
$$P_l=\frac{\mu_0 A_l}{l_l}$$
となります。
磁石から見るとギャップの磁気抵抗と漏れの磁気抵抗の二つが並列に接続されていることがわかります。
ここで電気回路の合成抵抗の話を思い出してください。
電気回路で二つの抵抗が並列に接続されていた場合、合成抵抗の逆数は
$$\frac{1}{R}=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}$$
となります。
これと同じことが磁気抵抗に関しても言えます。
すなわち合成磁気抵抗の逆数は個々の磁気抵抗の逆数の和に等しいです。
よって合成パーミアンスを\(P\)とするとパーミアンスは磁気抵抗の逆数なので
$$\frac{1}{R}=\frac{1}{R_g}+\frac{1}{R_l}$$
$$\rightarrow P=P_g+P_l=\frac{\mu_0 A_g}{l_g}+\frac{\mu_0 A_l}{l_l}$$
となります。
パーミアンス係数との関係
ここでちょっと話を変えてパーミアンスとパーミアンス係数との関係を考えてみます。
簡単のため漏れ磁束がない場合を考えてみます。
そうするとギャップの磁束だけを考えればよくて
$$H_ml_m+H_gl_g=0$$
$$B_mA_m=B_gA_g$$
$$\rightarrow p=(l_m/A_m)/(l_g/A_g)$$
となります。
※くわしくは以下の記事を参照ください。
ここで\(P_g=\frac{\mu_0 A_g}{l_g}\)なのでパーミアンス係数\(p\)は
$$p=\frac{P_g}{\frac{\mu_0 A_m}{l_m}}$$
となります。
パーミアンス法のメリット
パーミアンス法のメリットは「並列に接続されたパーミアンスの合成を考えやすい」という点にあります。
上の絵で見た通り磁石には漏れ磁束のような並列に接続された磁気抵抗がたくさん存在します。
それらの磁気抵抗に対して磁気回路法で磁気抵抗を一つ一つ求めても合成抵抗にするには逆数で考えなければなりません。
ならば最初から磁気抵抗の逆数であるパーミアンスで考えれば楽です。
合成するにも個々のパーミアンスを足すだけで求められるからです。
・並列に接続された磁気抵抗がたくさんある場合はパーミアンス法で考えると楽
コメント