(画像はイメージです)
この記事ではスピードコントローラーの機能・仕組みについて解説します。
スピードコントローラーとは
スピードコントローラーとは流量制御弁と逆止弁が並列に接続された流体素子です。
スピコン、速度制御弁などと呼ばれたりもします。
主にシリンダや調節弁などの空気圧で動く機器の作動速度の調整に使用されます。
スピードコントローラーの仕組み
空気がA→Bに流れるとき、流れは流量制御弁を通ります。
流量制御弁にはつまみがついているので、つまみをいじることで流量を調整することができます。
これを制御流れといいます。
逆止弁は押さえつけられているので開きません。
B→Aの流れは流量制御弁と逆止弁を通過する流れがあります。
このうち逆止弁を通過する流れを自由流れといいます。
逆止弁にはつまみがついていないので逆止弁を通る流量の調整はできません。
メータアウト回路とは
シリンダなどにおいて、排気が制御流れになるようにスピードコントローラーを接続する方式をメータアウト回路といいます。
シリンダでは主に複動タイプで使用されます。
下の絵において給気側は流量制御弁と逆止弁を通る流れがあります。
シリンダが動くと給気室の体積が増えるので給気室の圧力は下がりますが、自由流れによって空気がすぐに充填されるため、圧力はすぐに回復します。
排気側の流れは流量制御弁を通るので制御流れになります。
よって排気流量は調整可能です。
排気流量が調整されるとシリンダの排気室の圧力も調整され、シリンダの作動速度が調整されます。
作動速度を速くしたければつまみを開いて排気流量を上げればいいですし、
逆に遅くしたければ排気流量を下げればいいです。
給気側のほぼ一定の圧力に対して排気側の圧力を調整して作動速度を調整するというわけです。
メータアウト回路はシリンダの作動速度を調整できる
メータイン回路とは
メータアウト回路とは逆に給気が制御流れで排気が自由流れになるようなスピードコントローラーの接続の仕方をメータイン回路といいます。
主に単動シリンダなどで使用されることが多いようです。
メータイン回路では下の絵のように排気側の流れは流量制御弁と逆止弁を通ります。
逆止弁を通る流れは自由流れになります。
一方、給気側は流量制御弁を通る制御流れとなります。
メータイン回路は作動速度の制御がしにくい
メータイン回路は、スティックスリップ現象が発生するため作動速度の制御がしにくいという欠点があります。
スティックスリップ現象とは、シリンダが少し動いては止まり、また少し動いては止まるを繰り返す現象のことです。
シリンダが動くとシリンダの給気室の体積が増えて圧力がシリンダを動かすのに必要な圧力以下に下がる場合があります。
スピードコントローラーによって空気が供給されていますが、制御流れなので流量が低く調整されている場合があります。流量が低いとすぐには圧力は回復しません。
一方、排気室の圧力は自由流れによって大気圧に等しくなっているので、給気室の圧力が回復すればシリンダはすぐに動き出します。
そうすると
シリンダが動く
↓
給気室の圧力が下がる
↓
シリンダが止まる
↓
給気室の圧力が徐々に回復する
↓
シリンダが再び動く
↓
(以下繰り返し)
となってしまいます。これでは作動速度の制御がしにくいです。
メータイン回路はスティックスリップ現象が発生するため、作動速度の制御がしにくい
まとめ
まとめると
・スピコンは空気圧で動く機器の作動速度を調整する
・メータアウト回路は作動速度を調整できる
・メータイン回路は作動速度の調整には向いていない
となります。
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